訴状の雛型、自分で訴訟を起こす方法(家賃滞納者に対して賃料督促と物件の明渡し請求)

訴訟は自分で出来ます。この記事は、賃料を滞納しているテナント(賃借人)に対して、弁護士に依頼するのではなく、自分で裁判所に出向き、自分で訴状を作成して裁判を行おうとする賃貸オーナーさんの為に、参考となるよう手順を示し、雛型を張り付けしています。

本日、賃料滞納を起こしているテナントに物件の明渡と未払い賃料の支払いを求めるため、東京簡易裁判所に訴状の提出を終えたが、同じ問題を抱える不動産オーナーさんの為に、訴状の雛形をブログに載せておこうと思う。(但し、訴状の作成、訴状の提出及び訴訟については自己責任でお願いします)

用紙はA4サイズで、各ページに番号を振っておくと良い。左側2箇所にホッチキス留めして綴じ、自分(原告)の名前の横に押印する。任意であるが各ページに捨印をしておくと後で間違いが見つかった場合に電話連絡の上、裁判所側で訂正してくれる場合もあるので手間は省ける。
訴訟物価格、貼用印紙代、予納郵便切手の額については、空欄にしておいて、相談窓口「簡裁民事手続案内」で計算して貰ってから手書き入力しても良い。
訴状と証拠書類一式は2部作成し、1部は被告に送達され、1部は裁判所の控えとなる。提出は2部で良いのだが、同じ物を自分用控えに1部作っておく必要がある。

訴訟は自分でやってみると意外と簡単なので、入居者が賃料を滞納した場合には、躊躇せず着手した方が良い。

自分なりに作成して相談窓口「簡裁民事手続案内」に持って行き、専門家に添削して貰って、別の日に清書して提出に行くという方法もありだ。相談無料なので利用しない手はない。弁護士に相談すれば数万円支払わなければならないだろう。相談窓口「簡裁民事手続案内」の担当者と提出窓口「簡裁民事事件受付」の担当者でダブルチェックして貰えるのも有り難いシステムである。

<訴状雛型>

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訴    状
平成〇〇年〇〇月〇〇日
東京簡易裁判所 御中

〒〇〇〇-〇〇〇〇
東京都中央区〇〇 〇丁目〇〇番〇〇号 (送達場所)
原 告   〇〇〇〇 〇〇〇
電 話   03-〇〇〇〇-〇〇〇〇

〒〇〇〇〇-〇〇〇〇
東京都〇〇区〇〇 〇丁目〇〇番〇〇号
被 告   株式会社〇〇〇〇
上記代表者 代表取締役 〇〇〇〇 〇〇〇

建物明渡請求事件
訴訟物価格   金〇〇〇〇〇〇〇〇円
貼用印紙額    金〇〇〇〇〇〇〇円
予納郵便切手      金〇〇〇〇円

第1 請求の趣旨
1 被告は、原告に対し別紙物件目録記載の建物を明け渡せ。

2 被告は、原告に対し金〇〇〇〇円を支払え。

3 被告は、原告に対し平成〇〇年〇〇月〇〇日から前記明け渡し済みまで1か月につき金〇〇〇〇円の割合による約定の損害金を支払え。

4 被告は、原告に対し別紙損害金目録記載の金員を支払え。

5 訴訟費用は被告の負担とする。

6 仮執行宣言

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第2 請求の原因
1 別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)は訴外 Aの所有であったところ、Aは訴外Bに対し、平成〇〇年〇〇月〇〇日、本件建物を次の約定で賃貸し(以下、「本件賃貸借契約」という。)、本件建物を引き渡した(甲1号証)。
(1)期間 平成〇〇年〇〇月〇〇日から2ヵ年間。但し、賃借人および賃貸人が共に別段の意思表示をしない場合は、更に2年間延長する。その後の期間満了についても同様とする。
(2)賃料 1ヵ月〇〇〇〇〇〇円(別途消費税)
(3)賃料の支払い方法 翌月分を当月末日迄に支払う。
(3)更新料    本賃貸借契約が更新された場合には、賃借人は賃貸人に対し賃料の1カ月分の更新料を更新時に支払う。
(5)遅延損害金  賃借人が賃料の毎月末日迄に支払わなかった場合には、その翌日より支払い済みにいたる迄、日歩〇〇銭の割合による遅延損害金を賃貸人に支払わなければならない
(6)違約金    賃借人が本件賃貸借契約に違反したことにより本件賃貸借契約を解除された場合、賃借人は、遅延損害金のほかに保証金の〇〇%を違約金として賃貸人に支払わなければならない。
(7)損害補償   賃借人は、本件賃貸借契約終了までに本件建物の明渡しをしない場合は、明渡しをしなければならない日から明渡しを完了するまで1か月につき賃料の〇〇〇%の損害金を、賃貸人に支払わなければなければならない。

2 訴外 Cは、平成〇〇年〇〇月〇〇日売買により、Aより本件建物の所有権および賃貸人の地位を承継した(甲3号証、甲4号証)。

3 原告は、平成〇〇年〇〇月〇〇日売買により、Cより本件建物の所有権および賃貸人の地位を承継した(甲3号証、甲4号証)。

4 被告は、平成〇〇年〇〇月〇〇日、Bより本件建物の賃借人の地位を承継した(甲4号証)。

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5 平成〇〇年〇〇月〇〇日、本件賃貸借契約は更新された(甲4号証)。
被告は、平成〇〇年〇〇月分以降の賃料を支払わなかった。そこで原告は平成〇〇年〇〇月〇〇日付内容証明郵便をもって〇〇年〇〇月分から平成〇〇年〇〇月分までの未払賃料及び遅延損害金合計金〇〇〇〇〇〇円全額を上記内容証明郵便到達後7日以内に支払うよう催告し、上記期間内に全額の支払いがない場合は、本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をなしたところ、上記郵便は同年〇〇月〇〇日被告に到達した(甲5号証)。
6 被告は、平成〇〇年〇〇月〇〇日、前項の支払いをしなかったので、本件賃貸借契約は同年〇〇月〇〇日の経過をもって解除された(甲5号証)。
7 しかしながら、被告は平成〇〇年〇〇月〇〇日に平成〇〇年〇〇月分の賃料金〇〇〇〇〇〇円を、平成〇〇年〇〇月〇〇日に支払ったものの、平成〇〇年〇〇月分以降の賃料及び平成〇〇年〇〇月〇〇日以降の約定による損害金を支払わないまま未だに被告は本件建物の占有を継続している。
8 よって、原告は被告に対し、本件賃貸借契約の終了に基づき、本件建物の明け渡し並びに平成〇〇年〇〇月〇〇日から前記明渡済みまで1か月金〇〇〇〇〇〇円の割合による約定の損害金及び別紙損害金目録記載の金員の支払いを求める。

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証拠方法

1 甲第1号証の1    賃貸借契約書
2 甲第1号証の2    住宅地図
3 甲第2号証      履歴事項全部証明書
4 甲第3号証      全部事項証明書
5 甲第4号証      覚書の写し
6 甲第5号証の1    内容証明郵便
7 甲第5号証の2    配達証明書

附属書類

1 訴状副本             1通
2 甲号証写し           各1通
3 全部事項証明書          1通
4 履歴事項全部証明書        1通
5 固定資産評価証明書        1通

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物件目録

一棟の建物の表示
所    在  〇〇区〇〇 〇丁目〇〇番地〇、〇〇番地〇〇
構    造  鉄骨鉄筋コンクリート・鉄筋コンクリート造陸屋根〇〇階建
床面積         1階 〇〇〇〇㎡
2階 〇〇〇〇㎡
3階 〇〇〇〇㎡
4階 〇〇〇〇㎡
5階 〇〇〇〇㎡

専有部分の建物の表示
家屋番号        〇〇〇 〇丁目〇〇番〇の〇〇〇
建物の名称        〇〇〇
種    類  事務所
構    造  鉄骨鉄筋コンクリート造1階建
床面積        〇階部分 〇〇〇〇㎡

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損害金目録

1 金〇〇〇〇円
(平成〇〇年〇〇月分賃料金〇〇〇〇円に対する平成〇〇年〇〇月〇〇日から平成〇〇年〇〇月〇〇日支払済みの〇〇日間の日歩〇〇銭の割合による遅延損害金)

2 金〇〇〇〇円
(平成〇〇年〇〇月分賃料金〇〇〇〇円に対する平成〇〇年〇〇月〇〇日から平成〇〇年〇〇月〇〇日支払済みの〇〇日間の日歩〇〇銭の割合による遅延損害金)

3 金〇〇〇〇円
(平成〇〇年〇〇月分日割り賃料金〇〇〇〇円に対する平成〇〇年〇〇月〇〇日から平成〇〇年〇〇月〇〇日支払済みの〇〇日間の日歩〇〇銭の割合による遅延損害金)

4 金〇〇〇〇円
(本件賃貸借契約の特約に基づく違約金 保証金〇〇〇万円の〇〇%)

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