下水の埋設管

土地の売買を行う場合、自分が売主・買主・仲介会社いずれの立場であっても注意しなければならない事の1つに下水の埋設管の問題がある。

下水管は当然ながら勾配によって下水を流すシステムである。
東京都内には坂が多く、小さな区画の土地が入り組んでいるので、時に思わぬ事態に遭遇する事もある。
特に前面道路が私道である場合、下水道局では下水の埋設管の資料を持っていないので、自分で現地の状況を確認しなければならないのである。

<トラブル事例>

本件は私道に面する約100坪の土地を2分割して売買する際に生じたトラブルである。

〇現地の状況

上の図の通り、南北に走る公道にTの字に接する形で私道が西から東に伸びておりその先で行き止まりになっている。
公道部分の標高が高く、東へ行くほど低くなっており、突き当たりの土地のその先は崖になっている。
本件土地はその私道の途中の北側に位置する接面が長い長方形の土地である。元はその長方形の土地の真ん中あたりに古屋が建っていたが数年前に取り壊されて現在は更地となっている。
この土地を2分割して別々の買主に売買したものであるが、売買後に分割したうちの東側の区画に下水管が繋げないという問題が生じたのである。
以前に建っていた古屋は、この私道に通っている下水管の始点になり、緩い勾配ながら西側にある公道下に埋設されている下水の本管まで接続されていた。
本管の深度の関係で古屋から引く私道の埋設管の勾配を緩くせざるを得なかった様だ。
本件土地の東の土地の下水はどうなっているかと言えば、東側の崖下に落としてその下の道路の下水管に繋げている。

〇解決方法

勾配を考えれば、東側の低い土地の方向へ新たに下水管を敷設するのが一番良い。しかし、私道が行き止まりになっている為、その先の他人の敷地下をとおさせて貰う必要が生ずる。これを交渉する事は非常にハードルが高い。余程の事がない限り承諾は貰えないであろう。
東側の区画から下水をポンプアップして西側の区画を通して貰うという方法もある。しかし、これもハードルは高い。
結局どうしたかと言うと、私道のアスファルトを現状より30センチ程盛って東側の区画から下水管を通す深さを確保したのである。
その場所だけ高くすると不自然なのでかなり長い距離に渡ってアスファルトを盛った事は言うまでも無い。
元々敷設されていた私道内の下水管の勾配が充分あれば、公道下の取り付け部分から引き直してしまう方法も考えられたのであるが、勾配が緩くてそれが出来なかったのである。
また、下水管の素材についても塩ビ管であれば滑りが良いのだが、昔の埋設管は土管の場合が多いので途中で詰まり易い。さらに土管の継ぎ目から砂が漏れて来て土管内に堆積している場合がある。こんな場合はついでに取り替えておいた方が無難である。

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