レストランテ・マデイラでポルトガル料理を食す <マカオ・香港トリップ>⑯

疲れ果てて、ホテルの部屋に戻った。

妻は、「これからスマホを首から掛けるようにするから、カバーを買い替える」と言う。

「旅行中、次の行動に移るときは、スマホ、財布、パスポートなど、持ち物をその都度確認しよう」と、話し合った。

本当に肝を冷やした出来事であった。

この日は、早めに夕食を摂る予定であったが、結局は、この事件の為に遅くなってしまった。

疲れてもいたので、ホテル内のレストランしか、選択肢はない。1階にあるイタリアンレストランの評判が良いようなので、行ってみることにした。

お店の入り口で、係りの男性に「ご予約はありますか?」と聞かれたが、店内の席が沢山空いている様子は、入り口から良く見えている。

「予約はしていないけど、2名です」と答えると、どうぞこちらへと、フロア真ん中あたりのテーブルへ通された。

メニューを渡され、あれこれ選んでいると、別の女性店員が、グラスの水を持ってやってきてテーブルに置き、「申し訳ございません。本日は、パスタとリゾット類、それと魚料理が終了してしまい、ご提供できるのは、ピザと肉のソテー類だけとなります」と説明された。

ピザと肉とは、あまり体にとってよろしくないが、他に無いなら仕方がないかと思っていたところ、妻は、「昨日、ピザ食べたんだから、もうイヤだよ~。パスタが食べたい。どうしよう?出ようよ」と言ってきた。

「パスタだって昨日食べたじゃん」と心の中で、突っ込みを入れたが、こちらの考えを強要すると、後で尾を引くので、おとなしく受け入れることにした。

女性店員にその旨を話して、すまないが出ますと言って、席を立った。

最初の男性店員が、少し怪訝そうな顔で、こちらを見ていたが、その後、女性店員が彼に説明しているようであった。

こんな基本的な情報共有が、出来ていないとは、何たるオペレーションなのだろうか。店構えは立派でも、南国の適当さは、こんなものだから、これも仕方がないと納得した。

とはいえ、またフードコートに行く気にはならないので、直ぐに他のレストランを探さなければならない。ぐずぐずしていると夕食難民になってしまう。

1階フロアを見て回ると、ビュッフェ形式だったり、エスニック料理であったり、どうも今の気分と違う。エスニックを候補に残しつつ、館内マップを見て、3階の各国料理のレストラン街へ行ってみることにした。

運河沿いに出ると、客を乗せていないゴンドラの漕ぎ手が、サンタルチアを朗々と歌いながら、ゴンドラを流していた。ちょっと聞きほれていたが、今はそんな場合ではない。

先に進んで、運河横の広場に出ると、そこには屋外席よろしくテーブルと椅子が並べられ、皆が食事を楽しんでいた。

看板を見ると、1件は中華、もう1件は、ポルトガル料理のようである。

今の気分で、どちらか選ぶのであれば、消去法で、ポルトガル料理の気分であるが、ランチで食べたのがポルトガルの家庭料理である。

入り口にある写真入りのメニューを丹念に眺めると、ランチで食べたものより、上品そうである。

大枠で言えば、被るのであるが、メニューの選択を変えれば、何とか違う雰囲気が楽しめそうであったので、ここに決めた。

店内は、殆ど満席であったが、丁度テラス席が一つ空いたので、直ぐに座ることができた。

もう一度メニューを見直して、バカリャウのコロッケなど、ランチと被るものは避け、オーダーを終えた。

オーダーした炭酸水を飲みながら、料理が運ばれてくるのを待っていると、天井を照らす照明が暗くなり、街灯にオレンジ色の灯りがともった。夕暮れへと時間が移ろう演出である。時間は9時を過ぎているが、真夏のヴェネチアなら、日暮れはこれくらいの時間かもしれないと納得した。もしくは、このホテル滞在客の時間感覚に合わせているのかもしれない。

料理は、良いタイミングで、運ばれてくる、どれもボリュームがあって、味も良く、満足できる内容であった。

料金は、2人で約1万円であったので、安くは無いが、ホテル内のレストランにしては、超良心的である。

ちなみに、カジノのデポジットカードを提示すると10%割り引いてくれるので、サービス料の分が、行って来いになる。

店名は、「レストランテ マデイラ」である。