レパルスベイの海岸を散策する <マカオ・香港トリップ>㉒

友人のベンツの助手席に乗せてもらい、夢の世界を後にした。

後ろの席に座っている妻も、振り返ってライトに照らされるプールを眺めている。憧れの気持ちが、その横顔に出ている。

ホテルへ送る前に軽くドライブしようと友人が提案するので、お言葉に甘えることにした。車は海沿いの道を右へ左へ、上って下りて、進んでいく。5分もすると視線の先には、オレンジ色の照明に照らされたビーチ沿いの遊歩道が見えてきた。

そこが、映画「慕情」の舞台として有名な「レパルスベイ」である。

山側には、大きな建物があり、以前はホテルであったが、現在はマンションとショッピングモールになっている。リッツカールトンの運営らしい(確か友人がそう言っていたような)。

 

ビーチ沿いには銀座インズの様な低層の長~い建物があり、その地下が駐車場となっている。レストラン、カフェ、マリンスポーツグッズのショップなどがテナントで入っており、香港の海水浴スポットとなっているようだ。

この時間は、通る車も少なく人気も無いので、車は駐車場に入れず路駐して車外に出た。

 

ビーチの砂は、ワイキキの様にどこか別の場所から運んできているかの様に白く綺麗で、遊歩道も良く整備されている。人工的に作られたビーチリゾートの様だ。東京で言えばお台場の様な所なのであろうか?ガイドブックには、日本で言えば江の島と書いてあるので、まあ、そんな様なところである。

ビーチの一番左端には、鎮海楼公園という観音像やらいろいろなものを集めた神社の様な公園があり、どうもこの雰囲気にそぐわないが、これも香港なのであろう。中国本土からの観光客はこういう縁起物を好むそうである。

堤防の先まで歩いていくと、カップルが海を眺めていた。この時間、他には誰もいない。彼らの邪魔をしてムードを壊しては可愛そうなので、数枚記念撮影だけして、一応階段を下りて海水に手を浸して水温を確かめてから、引き返すことにした。

海水は温かく、昼間なら十分海水浴が出来そうである。

波があれば、トランクスでサーフィンも出来そうであるが、香港では波は期待出来ない。ここの海は一応外海であるが、静か~な水面が、のっぺりと広がっており、さざ波の音もほんの微かである。

しかし、台風が良いルートで沖を通過すればサーフィン向けの波が入ってくるのではないだろうか。別名:浅水湾(シャロウシーベイ)と言うそうで、水深は浅いそうである。

 

車に戻ろうと歩きながら、ふと「南沙諸島」という言葉が頭をよぎり、海を振り返った。

この真っ暗な海の向こう。ここを真っすぐ南下すると南沙諸島があるはずである。この時間も、基地建設の工事の槌音が響いているのであろうか?

今、自分の周りは平和な世界であるが、そうでない世界もそれに接して存在しており、それにまつわる人々が活動しているのだと思うと、やるせない気持ちになる。

そういえば、今朝までいたマカオの街のどこかにどこかの国の御曹司とその家族が生活していたんだなぁと、ふと思った。世界というのは何と入り組んだ空間なのであろう。日本の国内の空間の中にいると、何か守られた感があり、世界の出来事がよそ事的に感じるが、自分の居場所を海外に変えるだけで、違った感覚で捉えられるようになる。これも旅行する事の効用の一つなのではないかと思う。

再び車に乗り、レパルスベイの山側に登っていく。この辺りは立派な構えの邸宅が建ち並ぶ別荘地のようである。

マカオの有名実業家の第三夫人の邸宅、第二夫人の邸宅、第一夫人の邸宅と友人が説明してくれるが、全部ご近所である。私からすると大丈夫なの?という感じであるが、それが普通の世界であるならば、違和感がないのかもしれない。

他人から指摘されても、何が悪いの???という感覚なのであろう。

最後にビュースポットに案内してくれるというのであるが、この日は未だちょっと霧が出ている。その後、山道のどこをどう走ったのか、良くわからないが、「オパス香港」という高級そうなマンションのサインが見えた。

あれは何かと聞くと、高級マンションだとの事。山のほぼ頂に立地し、周囲に建物は無さそうで、ぐるっと緑に囲まれている。電車などの公共交通機関のアクセスは無いが、どこの国でもお金持ちは電車の駅など気にしない。おそらく百万ドルの絶景を独り占めできるマンションなのであろう。

オパスと言えば、東京のオパス有栖川が思い浮かぶ。オパス有栖川は、リッチな欧米人が好む良いマンションであるが、このオパス香港は、もっとスペシャルなマンションなのだろう。一度見学をしてみたいものである。

そのマンションから山道を少し降りた道路沿いに小さなパーキングがあった。ここがビューポイントだそうである。車から降りて崖の手すり際まで来てみると、霧はかかっているが香港島サイドのビル群は灯りを煌々と放ち、視界一杯に広がっている。霧の合間の夜景というのも独特の雰囲気があって良いものである。

 

混雑するピークトラムに並んでビクトリアピークに登るよりも、地元の人は車でピュッとここへ来て夜景を見る方が良いのだろう。機会があれば天気の良い夜にもう一度車で来てみたいものだ。道路も整備されているせいか、暗い夜でも危険な匂いは感じさせなかった。

夜のH1ハイウェイは空いていて、香港島サイドからチムサーチョイまでは、あっという間に到着した。

チムサーチョイ周辺は、夜でも人と車の往来がある。一方通行が多いので、ホテ近くまで来ても直ぐにはたどり着けない。友人も香港で自分自身がホテルに宿泊する用は無いので、センチュリーハイアットのエントランスの場所を知らない。近くまで来たら、私が道を案内してエントランス前に車を着けてもらう。

夜遅くまで、我々をもてなしてくれた友人にお礼を言って車を降り、ホテルへ入る。チェックインカウンター前を通る際、気になっていたウォーターサーバーに近寄って良く見てみるとレモン水のようである。グラスに注いで一杯いただいた。南国では意識して水分を摂らないと脱水症状になるので、こういう場所に置かれているのは良いサービスである。

ホテルの部屋に戻って、またお茶を飲んだ。明日の朝食はどうするか、未だ何も決めていない。マカオ以来の旅疲れと、香港初日の長い夜のおかげで、少々疲れが溜まって来たので、明日の朝は目覚ましを掛けずにゆっくり寝よう。

明日のことは、朝起きてから考えることにした。