マンションの終活。リゾートマンションは厄介な資産だ。

築年数が古くなったマンションは様々な問題を抱えている。

何れ建物の躯体は寿命を迎え、取り壊して売却するか、建替えるなどの措置が必要となるのだが、その合意形成は厄介である。

過去に建て替えに成功したマンションは、容積率が余っていた物件が殆どである。

容積率が余っていれば、建替えた場合に既存の建物より大きなものが建てられるので、増えた分をデベロッパーが取得する事で、既存の区分所有者は金銭の持ち出しが無く新しいマンションに住みかえられる可能性がある。

しかし、この様なマンションは稀なので、今後は政府による何らかの救済制度が創設されないと大変な事になる。

ところで本題であるが、その中でもリゾートマンションは厄介である。

区分所有者が住んでいないのだから、管理組合の活動に無関心である事はもちろんのこと、新築後の用途変更により、容積率が余っているどころか、規制が厳しくなって、容積率が足りていない物件が多いのである。

昭和の後半から平成の始め、好景気とリゾートブームにより各地にリゾートマンションが次々と建設され分譲された時代があった。

当時、リゾートエリアにある土地は、用途地域としては無指定であり、400%の容積率があるところ、1987年6月施行のリゾート法(総合保養地域整備法)の網掛けにより、容積率が大幅に制限されるという情報を元の土地所有者は得たはずである。

デベロッパーやゼネコンから上記情報により営業攻勢を掛けられた結果、 その用地を所有していた地主は、 その前に土地を売却したり、等価交換もしくは自ら事業者となってリゾートマンションを建設したものと思われる。

リゾート法の網が掛かれば、単純計算しても土地の価格は半値以下になってしまう可能性があったからである。

それにより、昭和の末期から平成初期にかけて竣工したリゾートマンションには、容積率半減の為、建て替え困難となっているものが多数存在するのである。

既存不適格建築物というものであるが、あるリゾートマンションの状況を調べてみたところ、新築当時の法規制では容積率が400%あり、その範囲内で建てられたので適法であったものが、リゾート法がかかる事により、容積率が激減する事になり、逆にそこから救う為に用途地域の改定が行われたが、最終的に容積率が200%に定められた。

救われたとはいえ、当初の半分であるから、建て替えした場合、現在の区分所有者が所有する専有部分の床面積が半分になってしまうので、それを権利調整する事は非常に困難である。

では、建物を解体して売却して、土地の売却代金を区分所有者で分配できないかと試算してみたところ、それも難しい事が分かった。

仮に現時点でこのマンションの建物が、老朽化により寿命を迎えてしまい「終了」させねばならなくなったとした場合、区分所有者全員で11,360万円を用意して土地の買主に支払わないと管理組合の解散も出来ないのである。

土地面積600坪×@20=12,000万円  ・・・①

解体費用2,336坪×@10=23,360万円 ・・・②

デベロッパーが土地を坪単価20万円で購入すると仮定しても解体費用が発生するので、①-②=▲11,360万円となり、その差額分を負担してあげないと取引が成立せず処分出来ない。

将来の解体費用を積み立てておかないと身動きが取れない状態に陥る事が目に見えているのであるが、修繕工事の為に積立金を徴収するのであれば、例え年々増額になったとしても支払いの合意は得やすいが、解体する為の積み立てというネガティブな積立金は合意が得られず先延ばしになりがちである。

結局、将来の大規模修繕の為に積み立てをしていた資金をどこかの時点で管理組合で方針変更の決議をして、一切の修繕工事を取りやめ、解体日を定めて、朽ち果てるまで使って解体するしかないのだろう。

もし、これからリゾートマンションの購入を考えているのであれば、現状の総床面積、土地面積、容積率を確認したうえ、上記事情を踏まえたうえで判断する事をお勧めしたい。

売買を仲介する不動産会社は、「既存不適格物件」である事を、多分さらっと説明して流すものと思われるからである。