マンション共用部分火災保険の見直し、解約すべき特約は?

それは、マンション居住者賠償特約(個人賠償特約)です。

理事会で検討したうえ、早急に解約する事をお勧めします。

この保険は、マンション入居者の為に設計開発された保険商品ではなく、保険会社とマンション管理会社の為に作られた保険です。

保険料が、建物の火災保険本体より高かったりします。

この保険でトラブルが生じるのは、例えば、ある住戸で漏水が発生し、下の階が被害に遭ったにも拘らず、加害者住戸が保険に加入しておらず、管理組合が掛けている共用部の火災保険の個人賠償特約を利用する事になった場合などです。

保険会社は、加害者側の代理人となって被害者と交渉しますので、保険による補償額を抑えるよう働きます。交渉人は力ずくで示談をまとめるよう動きます。

マンション管理会社は、担当者が被害者と加害者の間に立って話し合いを仲介する必要は無く、保険会社に丸投げすれば、後は保険会社の交渉のプロが全て纏めてくれますので、手間が省けます。

結局、割りを食うのは被害者です。

被害者からすれば、管理組合を通して、自分が保険料を支払っている保険により、プロの交渉人が雇われて、自分に立ち向かって来るという構図になります。

自分が支払っている保険料により、損害賠償金を抑えられる交渉をされているのです。

とんでも無く理不尽な保険です。

被害者も加害者も同じマンションの管理組合の組合員ですので、管理組合が掛けている保険の補償については、先ず保険会社が補償金の査定額を提示して、その後は、両者間で公平に交渉するべきものです。

管理組合理事長が保険契約者になっていますので、その保険会社が、一方的に加害者側について交渉をするべきではありません。

この特約の構造を知らずにいた時、最初は保険会社が、でしゃばって交渉しているのかと思ったので、直接電話して、未解決で残っている最後の一部屋の示談交渉から手を引いてくれないかと依頼しました。

ところが、事故が発生した場合、被保険者は管理組合理事長ではなく、加害者住戸になると説明されました。

従って、管理組合の理事長が、保険会社にクレームして、強引に手を引かせるとなると、加害者の権利を侵害する事になるので、それが出来ません。

それをすれば、今度は、理事長が加害者から訴えられるリスクがありますので静観するしかありません。

この理不尽な保険のために、被害者である区分所有者さんは、大変不愉快なご経験をされました。

実際の事例で、問題が拗れた理由は、原因住戸(加害者)が保険に加入していなかった事と、管理組合保険に付帯された示談交渉サービスによる、事故後の示談交渉のされ方です。

原因住戸の保険が無いので、管理組合で加入している個人賠償特約を利用して、被害者の賠償をせざるを得ない事になりました。

ところが、この保険が実は最悪な設計がされた保険でした。

保険の説明書には、示談交渉サービスが付いているとは書いてありませんが、実はそれが付いていました。

この示談交渉サービスというものが曲者で、保険会社が、加害者側の代理人となって、被害者と交渉するというサービスです。

プロである保険会社の交渉人が、示談金額について、素人である被害者に交渉をしてきます。

被害者から改修工事の見積書を保険会社に提出しましたが、補償の査定額は半分以下です。差額は、被害者が自分で支払えというものです。慰謝料も無しです。

保険会社は、交渉で一歩も引きません。

被害者は、加害者と直接交渉したいと申し入れをしましたが、保険会社が代理人になっているので、それは許されません。

被害者が加入する保険に弁護士特約が付いていれば弁護士を立てて戦う事もできましたが、自己負担で弁護士を雇えば経費倒れになるリスクがあります。

(実は、自費で弁護士を雇った方が良かった可能性が高いです。理由は、被害者に弁護士が付いていない場合、保険会社は「自社の基準」で補償額を算定します。ところが、被害者側に弁護士が付いた途端、「裁判所基準」に変更され、殆どの場合、保証額は倍増以上になります。訴訟をしなくても基準が「裁判所基準」に変わりますので弁護士費用はペイします。従って、保険の弁護士特約は、保険料も安いので最初から忘れずに付けておく方が良いです。)

結局、管理会社から助言があり、被害者は自分で掛けている保険を使い、不足分を補う事になりましたが、全額カバーは出来ず、赤字となりました。

これだけの事故を起こしておいて、加害者には何の金銭的負担も発生せずに、保険会社が代理人となるので、示談交渉は全てお任せで済みます。

被害者は弁護士を雇う事も出来ず、自分でプロの保険会社の交渉人と対峙しなければならず、時間的にも精神的にも大きな負担となりました。

ちなみに、他の住戸の漏水事故の事例においては、加害者側がきちんとご自身で個人賠償特約付きの火災保険に加入しておりましたので、階下の被害に関しては、特に交渉する必要もなく、見積を提出したら満額回答で補償が下りました。

管理組合が掛ける保険商品と、各個人が掛ける火災保険の商品とは、査定基準が違うのかと思われます。

その2はこちらからどうぞ