テスラ モデルS 

テスラ(TSLA)のCEOイーロン・マスク氏が「一株当たり420ドルで市場から株式を買い上げ非公開化する」とツイートした。友人の投資家はテスラファンで株価が安い時に相当な株数を仕込んでいるらしいので、この話が本格化したら売るつもりなのか、保有し続けてプライベートカンパニーになるテスラについて行くのか聞いてみたいと思っている。

もう1年も前の事であるが、テスラの試乗会に行ったことがある。丁度車の買い替えを考えていたので、その友人に誘われ青山のショールームに行った。以前から街中で見かける濃紺のモデルSのフォルムには惹かれていたのだが、イタリア車の様な流麗な曲線美は、街を歩いていて偶然それが目の端に入るだけでハッと気づく程である。

その日、指定された時間に青山のショールームに行くと、青山通りにモデルSとモデルXがハザードランプを点滅させながら停車していた。ショールーム内に入ってみたがスタッフはおらず、展示物を勝手に見て回わりながら、待ち合わせをしている友人を待った。

友人が到着し、スタッフから簡単な説明を受けて、友人と私たち夫婦の3人で試乗スタートとなった。最初はモデルXに乗った。

ガルウイングのSUVで非常に個性的な車である。フロントグラスがサイドから天井までまわっていて視界が広い。前方と横方向に死角が無いので、街中で歩行者を巻き込むなどの危険が少なそうである。シフトレバーは自分の車と同じハンドルの右側のコラムタイプなので違和感が無い。ただエンジン音が無いので、シフトをドライブに入れたら後はアクセルを踏むだけなのに、何かを忘れている様な気がして最初戸惑った。青山通りを渋谷方面へ進み、外苑前駅を過ぎて、南青山三丁目交差点で左折して外苑西通りに入った。ここから西麻布交差点までは信号が少なく交通量も減るのでスピードを上げて青山墓地下のカーブを気持ちよくドライブ出来た。西麻布交差点の手前の三叉路で左折して、かおたんラーメン方面に進む。外苑東通りに出て北上し、青山一丁目駅の交差点を左折して青山通りに入り、ショールームの前に戻ってくるというコースであった。

2周目はモデルSに乗り換えた。モデルXでもパワーがあると思ったのであるが、やはりモデルSは次元が違った。見た目はセダンであるが、性能は完全にスポーツカーである。先程と同じコースを半分まで来て、かおたんラーメン前の信号につかまり停車した。そこで助手席に座っているスタッフさんが、「この信号が青になったら、スタートと同時にアクセルをべた踏みして外苑東通りまで走ってみてください」と言う。それまで走って来た感触から、そんなことをしたらトンデモナイ事になるのが分かる。日本車ディーラーでは、そんなことは絶対に言わないだろう。テスラのスタッフはなかなか遊び心があるなぁと感心した。後部座席に座っている友人と妻が驚かない様に「これから急発進するよ!」と声を掛けたのだが、妻は「やめて~!」と悲鳴を上げる。「一瞬だから大丈夫~!」と答えてアクセルを目いっぱい踏んだ。すると、とんでもないトルクが働きサスペンションが反発して後ろが持ち上がるような感覚とともに前方に飛び出した。風景が全て残像となり後方へ飛んでいき、一瞬のうちに外苑東通りに到達した。まさにフェラーリの感覚である。

フェラーリなど私には縁が無いのだが、数十年前にお金持ちの社長さんのテスタロッサを運転させて貰ったことがある。都内の道だったので、ギアをセカンドに入れると直ぐに次の交差点まで到達してしまうので、ローギアとセカンドだけで走った記憶がある。その時以来の加速感であった。しかし、テスラの場合エンジン音が無い事とそのトルクの太さはフェラーリとは異質の乗り心地である。

試乗を終えた後、スタッフさんはセールスをするわけではない。商品に絶対の自信を持っているのだろう、決断は全面的に客任せである。

フェラーリに匹敵する性能が、普通の高級外車程度の金額で買えるのなら、モデルSはお得だという気もしてきて、一瞬無理してでも買ってしまおうかという気持ちに傾いたが、妻は冷静であった。「ウチは出かけるとき荷物が多いから駄目だよ。スノボ行く時、荷物が積みきれない」と言う。近年スノボに行っていないが、また行くようになったらモデルSでは困るかもしれない。

それにこの先モデル3の発売を控えているので、その実車も試乗してみたい。モデルSの3分の1で購入できるのだから比較検討は必要である。日本のファミリーカーと同じ価格で買えてしまうのだ。EVなのでモデル3であってもポルシェ並みの加速力を持っている可能性はある。最近SNS上で見た映像ではマクラーレンに加速で勝っていた。

供給さえ追い付けば、モデル3は世界中のマーケットでナンバーワンになる可能性を持っている。日本では2019年以降となっているが、現在の供給状況を考えれば、もっと先になるのではないだろうか。アメリカ国内の顧客の分を優先する必要があるだろう。香港では当初2018年納車見込みという事で予約を受け付けていたものが未だいつになるか分からないそうだ。

モデル3に予約を入れて、後日キャンセルしても予約金は戻るらしいので、予約をしても良いのだが、納車を待つ間に他のメーカーがEVでキャッチアップして来る可能性も大である。従って、現在は様子見で車の買い替えも控えたままだ。

今の時点では、テスラ以外のメーカーのEVには魅力を感じ無い。EVは見送ってガソリン車を買うとしたら、それが最後のガソリン車になる可能性が大きいので迂闊には決められない部分もある。EV時代になる前にガソリン車を味わっておきたいという気持ちもあるのだ。

ところで、イーロンマスク氏と、日本のキョウデングループ会長の橋本浩氏に何故か共通点を感じてしまうのは私だけだろうか。

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