土地境界問題

土地を売却するときは原則として隣地との境界確認書を取得して買主に交付する必要がある。

今回は、所有する土地の一部を分割して売却するにあたり、隣地所有者所有者からの境界確認書の印鑑が貰えないケースについての対処法についての話である。

土地の分筆登記を法務局に申請するためには、隣接する民有地との境界、前面道路が公道であれば官有地のとの境界、すなわち民民・官民すべての境界確認書を取得しなければならない。

ところが往々にして「印鑑は押したくない」という隣地所有者が現れるものである。理由は様々であるが大きく分けて次の3つが考えられる。

1.ただ単に印鑑を押したくない(境界についての異存はない)。

2.お金が欲しい。

3.境界について争うつもりがある。

 

地積更正登記を利用する方法

1.の場合についてであるが、自分の土地について法務局に地積更正登記を申請する。すると法務局の登記官は境界確認の取得できていない隣地所有者に対して現地の立ち合い依頼をする事になる。ここで隣地所有者が現地での立ち合いに応じ、境界に関して異議がないという事を登記官が確認できれば地積更正登記が可能となる。地積更正登記が可能となれば次に分筆登記が申請できることになる。但し、隣地所有者との境界確認書が取れたわけではないので、買主がこれで承諾してくれるか同課の問題は残る。

また、立ち合い時の状況を現場の登記官が判断して地積更正登記の申請を通すかどうかを決めるので100%確実ではない。これは法務局に地積更正登記を申請する際に事前の相談をする事が可能であるが、その時に窓口で対応してくれた登記官に現場の事情を説明するとおおよその感触を掴むことが出来る。

しかし肝心の隣地所有者が法務局の登記官が依頼する立ち合いに協力してくれない場合、地積更正登記不可となり登記を取り下げることになってしまう。

筆界特定制度を利用する方法

3.の場合についてであるが、法務局の登記官により筆界を特定してもらう「筆界特定制度」を利用する事が出来る。費用については申請費用とこの為の別途測量費用として別途100万円以上は覚悟せねばならない。

また時間的に東京都内の場合で10か月~12か月程度かかるので、売買契約の引き渡し時期を延期する必要も出てくる。

また筆界特定制度は、土地の各筆の境界を特定するものであり、所有権境を決めるものではないので、後から裁判で争う事になる場合もある。

都内の一部地域では公図が入り組んだ場所があり、筆界特定制度を利用した結果、予想に反してとんでもない場所に筆界が特定されてしまう事もあるそうだ。

結局は土地家屋調査士の選定がポイント

土地を分割して売却する売買契約を成就させるためには、売買仲介会社の選定が重要ではある事はもちろんであるが、それ以上に測量と分筆登記を依頼する土地家屋調査士の選定が重要になる。

所有権の移転登記などを依頼する司法書士は、間違いなく登記手続きをやってくれれる事が一番であるが、土地家屋調査士の場合は、測量と登記の問題だけでなく隣地との交渉作業が必要になってくるので、その人の人間力が要求される仕事なのである。

売買契約には期限がある。それに間に合わせることを考えれば、法的制度を利用するのではなく隣地所有者との交渉により解決していく事が一番である。

土地家屋調査士を決めるにあたっては、不動産仲介会社から紹介された調査士に安易に任せるのではなく、事前に付き合いの頻度と実績を確認したうえで、先ずは面談してから依頼するかどうかを決めた方が良い。

これ、重要です!!

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