次は、鄭家屋敷(Mandarin’sHouse)である。この公園の斜め前あたりのはずなので、その角の建物を見ながら左右に行ったり来たりして入り口を探していると、地元の人らしきお爺さんに声をかけられた。
「〇※△◇・・・」中国語なのか、何を言われているのかわからない。
キョトンとしていると、歩きながら手招きをして、こちらへ来いと言っているようである。
あまり興味をそそられない建物なので、ここはスルーして次へ行こうかと考えていた。無視して、歩き出そうかと反対側に顔を向けた。
それを見てか、さらに「〇※△◇・・・」と大声で言われるので、仕方なくお爺さんの方に振り返って、ついていくと、そこがどうやら鄭家屋敷(Mandarin’sHouse)の入り口のようである。完全に建物を間違っていた。
なんだか危ないお爺さんだなと思っていたが、実は超親切な人であった。私が、たぶんそれを探しているのだと察して、声をかけてくれたようである。
どう、お礼を言って良いのかわからないので、「サンキュー、サンキュー」と言いながら両手を胸の前で合わせてお辞儀をした。何とか感謝が伝わっただろうか。
お爺さんは、微笑みながら、その先のビルの中に消えていった。
このあたりのビルは、およそ5~10階建くらいであるが、上の階はアパートメントになっていて、洗濯物などが干してあったり、生活感が漂っている。
人が住んでいるのかわからない様なビルもあるが、全部のアパートメントに家族が生活しているのだとしたら、相当な人口密度である。皆どんな仕事をして生活をしているのであろうか。やはり、観光業に従事する人が多いのであろうかなどと考えたりする。
鄭家屋敷(Mandarin’sHouse)の入り口は、入場券売り場のような窓口があるが、覗くと人はおらず、入場フリーのようである。
エントランスの門扉は、円形にくりぬかれた部分を通り抜けて敷地に入るようになっている。なかなかお洒落な造作で、建物の中はどんなであろうかと興味をそそられる。
長い敷地内の路地を歩いていくと、白壁の木造建物が続いており、それがとんでもなく大きなお屋敷であることが分かってきた。
ちなみにガイドを見ると部屋数60、面積4000平米との事である。
庭から、その白い外壁の建物を眺めると、何とも風情があり、独特の空気感を持っている。これは中に入らずにはいられない。
建物の中に足を踏み入れると、床は石張りになっており、黒光りした柱が天井まで伸び、ずっしりとした存在感を放っている。
入り口、窓も開け放たれているので、空気の通りはよく、古い建物であるのにカビ臭さは感じない。
二階へ上る幅の狭い木製の階段があるが、見た目、華奢な感じがして、土足で上るのが躊躇われる。
しかし、二階にはすでに何組かの見学者がいるようなので、警備員の目を気にしつつ上ってみる。
二階に上がると、天井の高い大空間が広がっており、大きな窓からは十分な採光が得られている。ランプ、書画、調度品なども味わいがある。
窓辺に立って、庭を見下ろしていると、往時にタイムスリップしたような感覚になる。ここには、外界と違う時間が流れているようである。
室内を振り返ると、往時、何人もの使用人たちが、忙しく立ち働いている映像が瞼の裏に浮かんでくる。
その当時は、この建物に沢山の人が係わって、主のお世話をしていたんだろうなぁと想像できる。
主は中国近代の著名な思想家という事であるが、建築的センスのあった人なのだろうと思われる。どんな生活をしていたのか、できるなら覗いてみたい気がする。
この世界遺産の周りには、古いアパートメントが林立しており、すぐ裏手の隣地には、景観お構いなしに近代的なデザインのビルが建てられている。
このお屋敷が建てられた当時、まさかビルの谷間にこの様な建物を建てようとはしないだろうから、周りは野原みたいなところではなかったのかと想像してみる。想像の中でビルを取り払って見ると、地形は山あり谷ありの起伏があり、このお屋敷は山の中腹あたりに建てられ、たぶん二階からは海を遠望することが出来たのではないだろうか。
ここで、ゆっくり思想を鍛えるなどという人生が送れたら、それもいいなぁと思う。
ここは、マカオに行ったら、ぜひ訪れるべき場所です。
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