念願のピークトラムに乗車する <マカオ・香港トリップ>㉔

ピークトラムは、山の麓と頂上を各2両連結の2台のトラムでピストン輸送しているようだ。急坂を登って行ったトラムは、山頂で方向を変えずに帰りもそのままの向きで麓に降りて来る。従って、車両そのものが坂に合わせて勾配が付けられている。線路は単線であるが、途中上り下りのトラムがすれ違う中間地点だけ複線になっていて、タイミングを合わせてここですれ違う。

改札口からとぐろを巻いた列の最後尾に並ぶ。改札口では、トラムが発着するたびに、係員がホームに乗客を入れるのであるが、定員に合わせて人数をカウントしながらホームに入れているようである。

降車する客は、反対側のホームから出ていくので混乱は無い。東急井之頭線の終着駅の乗降スタイルと同じである。

トラムを待つ列に並んで、2回転目で、ホームにスタンバイする事が出来た。

我々の前には2組の家族が陣取っている。どちらも観光客らしく盛んに記念写真を撮っている。片方の家族はビデオモードで撮っている。しかし、それを後から見るのだろうか?

5分もするとトラムがホームに入って来た。片方の家族が乗り出すようにしてビデオを撮るので、見ていて少々危なっかしい。

 

トラムがホームにゆっくり到着すると、一方の家族は、前にいたもう一方の家族を押しのけて乗降口ドアの前を占領した。

後ろで見ていて、あわやトラブルか?と思われたが、押しのけられた家族は温厚であった。夫婦で顔を見合わせていたが、眉をひそめるでもなく、表情には現わさず静かにしていた。国民性もしくは宗教観の違いであろうか。押しのけられた家族はインド系の様である。彼ら家族が非常に高貴に見えた。

一方の家族はトラムに乗り込んでからも、何やら喚きながら周りの目も気にせず、ダッシュで良い席を確保しに走った。

ある意味で人間の素の部分がそのまま出ている現象ではないかと思った。彼らの住む環境は、きっと過酷な条件の中で経済的に熾烈な競争を強いられるところなのだろう。

環境がこういう人達を作るのではないか、もしくはこうでないと生き延びられないのかもしれない。

トラムの座席は改札で定員制限しているので、走ってまで席を確保する必要は無く充分座れる。

出来るだけその一方の家族から離れた席を探して、進行方向右側に席を確保した。

 

進行方向右側が谷側になるので景色が見やすいのだそうである。

トラムが、ガタゴトと走り始めた。1888年から営業しているとの事であるが、その歴史を感じさせるノスタルジックな音色である。

浅草の花屋敷で古いジェットコースターに乗る気分と似ているかもしれない。

駅を出ると、早速右手側にマンション群が見えてくる。高台で窓からは緑も見えて、住環境は良さそうだ。

 

登るに連れて、緑がどんどん濃くなって来る。意外に手付かずの自然が残されている感じである。空気も綺麗になって来る気がした。

途中の複線区間で、下りのトラムとすれ違う。正確な運行をしている。

標高が上がると、右手側の樹々の切れ目からセントラルエリアのビル群が霧に霞みながらではあるが眺望出来た。

頂上駅に到着すると立派な建物が建っているのに驚かされる。

その昔、妻が訪れた時は何も無いようなところであったらしい。

現在は、トラム山頂駅が入っているピークタワーとピークギャレリアという2棟のビルがあり、観光客に頂上で長く滞在して貰って、お金を落とさせる仕組みになっているようだ。

香港は、この貴重な観光資源を最大限活用している。

工事中のエリアもあったので、更にビルを建てるようだ。

ピークタワーをエスカレーターで順番に上の階に上がって行くと、各階には眺望を楽しめる飲食店が配置されている。天気の良い日なら此処での食事は相当お得感のあるものになるだろう。

 

タワー途中階の展望バルコニーに出て下界を見下ろした時には、霧の中に高層ビルの影が見えたのであるが、最上階まで登って展望デッキに出ると、更に霧が深くなり何も見えない。

しかも、風が強くなって傘もさせないほどであった。

デッキに出るだけ出てみて、直ぐに屋内に退避した。

この日は、ここに長居しても意味が無いので、以上で観光終了という事にして、下山する事にした。

本来の山頂はここでは無くて、さらに徒歩で30分登った所だそうだ。次回晴れた日に来る事があれば登ってみたいと思う。その時は、ここで1日時間を潰しても良いだろう。

丁度ランチ時の為、皆さんが山頂ビルのレストランで食事をするタイミングなのであろう、帰りのトラム乗り場は列も無く、すんなり乗ることができた。

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