事前にいくつかの候補をピックアップしていたが、妻は、その時の状況で、何料理が食べたいのかが変わるので、予約はせずにいた。
この日は、疲れすぎて食欲がないというので、そんな時のランチに大枚をはたくのは勿体ないと思い、ポルトガルの家庭料理の店に向かうことにした。
グーグルマップでは、徒歩10分と表示されている。少し辛い距離であるが、この近辺の店は混雑している可能性もあるので、かえって良いかもしれない。
雨の中、途中の景色は特に見るものもなく、席が空いていることを祈りつつ、ひたすら歩いた。
丁度10分で到着した。
伸記餐室(伸ではなく、土ヘン)は、いくつかのガイドブックに載っており、ローカルに人気でコスパが良いとの事であった。
1918年創業という事であるが、周囲に比べて新しいビルの1階に入っており、看板・内装も古くは無い。
内装は、良くアジアにある殺風景な白い壁で、蛍光灯の白い光が煌々と光っているという感じである。料理を美味しそうに見せる為の演出は、一切考えていない。
調理にはオリーブオイルだけを使うという事なので、それが、ここを選んだ第一の理由である。
店は、奥に長い長方形で、1階と2階に客席がある。
入るとマスターらしき中国系の男性が、「日本人?」と聞いてきた。頷くと、空いていた入り口わきのテーブルに案内され、日本語メニューと日本の雑誌に紹介された記事のパウチが手渡された。
愛想の良いマスターである。片言の日本語で、おすすめメニューを教えてくれる。
バカリャウのコロッケ、カルビのワイン煮込みなどの定番人気メニューの他、サラダ、魚料理などを注文した。
注文を終えると、テーブルにドーンと四角いブリキ缶を置かれる。何かと思って、缶に書かれた文字を見るとオリーブオイルであった。
業務用のオリーブオイル缶に缶切りで穴をあけて、客にそのまま使わせるという飾り気のなさである。
女性の店員は、マスターとは違い、愛想無く、皿をドンッと無造作に置いていく。
頼んだものは、あっという間に、次から次へとテーブルに運ばれてきて、直ぐにテーブルの上は一杯になった。
料理の見た目を考えて作ってはいない様なので、見た目的には美味そうには見えない。量は多い。
食べてみると、くどい味付けをしていないので、食べやすい感じであった。
「あそこは、美味いよ」と人にお勧めする味ではないが、普段サッと食べに行くには丁度良い味付けなのかもしれない。
客層は常連客が8割くらいであろうか、近くの席に、現地に駐在している日本人男性と思われる常連客が、腰を掛けた。炒飯と麵類と思われるものをサッと注文し、スマホをいじりながら、黙々と食べた後、サッと帰っていった。
なお、一人で行く場合、相席が普通にある。街の食堂という感じの店だ。
マカオに来たんだから、美味しいものを食べたーいという気合が入った時には向かないが、この日の我々には、丁度良い選択であった。
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